Column006【後編】「そこは察して…!」では通用しない!アメリカで人材採用や組織マネジメントしていく上での失敗あるあると、成功例とは!?

異国でも価値観の合うスタッフに出会いたい〜人材採用について考える〜後編

コラム対談相手

宮川聡 Life is Tech !アメリカ法人CEO

東京大学工学部卒、スタンフォード大学経営大学院修了。証券アナリスト(CCMA)。2005年に大学卒業後、東京海上日動火災保険へ入社。海外事業の経営戦略・資本政策に携わる。2016年ライフイズテックに参画後、2019年にアメリカ法人CEOとして、ロサンゼルスにてビジネスを立ち上げる。社会課題を解決するアイデアを持つ高校生を応援する、インキュベーションプログラム「BLAST School」メンター。


前回に引き続き、さとしさんとゆうきさんにアメリカでの「人材採用」について考えてもらいます。
採用したスタッフとやり取りをする際はどんなことを意識しているのでしょうか。
今回は主に、採用に関するコミュニケーションについて2人が重要だと感じているポイントを教えてもらいましょう!

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重要なのは「なにをやるのか」と「なぜやるのか」を伝えること

さとしさん

話のギアを戻して、ジョブの言語化っていう採用の方に戻させて貰います!
ジョブの言語化は僕も超大事だと感じています。

ゆうき

さとしさんが困っている事とか何かありますか?

さとしさん

もう困りっぱなしですよ!(笑)

ゆうき

やっぱり(笑)

さとしさん

採用って切り口で今日はお話してますが、組織の文化とか、ビジネスの生産性とかに直結する話だと僕は考えています。

例えば僕とかゆうきさんが、ここに行きたいってゴールの設定をして、このゴールを達成する為にいくつか仮説というか、マイルストーン(中間目標)みたいのがあって、達成する為にそれぞれ役割があるわけじゃないですか。

ゆうき

うんうん。

さとしさん

簡単に言うと、マーケティングやセールス、カスタマーサクセスなど、まずやる事を言語化することも超大事だし、それがなぜ大事なのかってこの「なぜ」をきちんと伝えるって僕は結構大事だと思います。

それを伝えないと、言われたことしかやらない人がやっぱり出てしまう

ゆうき

グッドポイントですね!

日本人の「察する」スキルはアメリカで通用しない

さとしさん

日本で仕事をしていると、なんとなくこれやりたいよね、っていった時にその背景の理由も含めて分かってよね、みたいな空気感があったりしますよね。

例えば、「この間のミーティングでああいう風に部長が言ってたから、その流れだとこのタスクがあるよね」みたいなケースだったり、別に明文化されていないのになんとなくそこにいる人全員理解している、みたいな状況が多い気がします。

ゆうき

今言ってくれた、なんとなくわかってよねっていう、空気感だとか文脈みたいなのが結構ポイントだなと思いますね。

それがアメリカだと、なんだそれ、そんなもんねえよ、ちゃんと説明しろよ、と結構要求されることもある

さとしさん

伝わらないからやっぱ書くことが大事だと僕は思ったんです。

でも書かなかった時に伝わっていなかったって何か月かしてから後で気づくみたいなことがあったりしていて。
伝わってると思ってたのに全然伝わってないみたいな。

ゆうき

だからそこが結構悔しいんですけど、自分の言語レベルの話もそこに含まれてくるのか、はたまた単純に違う価値観というか前提が違うのかというところですよね。

本当に結構細かく言語化したり、握るって事をする必要があるってことなのか…

スムーズな採用をするためのコミュニケーション

さとしさん

今思い浮かんだ事をお話させていただくと、2つあります。

自分の言語、英語力が足りないから伝わってないんじゃないかって思うことが来た当初はすごくいっぱいあったんですよ。

自信もなかったし、そうなのかなって半信半疑みたいな。

日本の人と仕事をしていた時の指示の仕方だと伝わらないってのが明確にわかりましたね。

ゆうき

率直に、正直に伝えないと伝わらないところがありますよね。

さとしさん

ちょっとした物言いでもそうなんですけど、ダイレクトにこうしたい、何故ならばこうだ、みたいにストレートに言うっていうのがすごく大事な気がしています。

日本だとストーリーから入りがちだったりだとか、結論っていうのがもやっとしがちだったりとか、日本でやっててバーンと答えはこうだ、みたいのはあまりなかったんですよね。

ゆうき

それだとドライすぎるとかね。

さとしさん

ドライとかダイレクト過ぎるって言われたりもしました。
でも、そのほうが上手くいく事が多いって気づいたんですね。

ゆうき

むしろ余計な事を言ったり曖昧にすると、ゴールがぼやけるって可能性が高くなりますよね。

英語力よりも、コミュニケーション力だった

さとしさん

曖昧ってところは結構僕も反省していて、振り返ってみるとやっぱり曖昧だったんですよ、コミュニケーションが。

もっとパチっとこれをやってくれ、これをやりたい、何故ならばこうだからだっていうのをすごく意識するようになったんです。

それ言わないと伝わらないって気づいて。
だから最初に聞いていただいた「言語で苦労したことがありますか」というと、そこが苦労しましたね。

今思うと、自分の英語力は多少成長したかもしれないけど、そこの問題よりもコミュニケーション、伝え方の問題だったっていうのは凄く思います。

ゆうき

そうですね。
それ前提のスタンス(立場)とかバリュー(評価)とかそっちの話が大きく絡んでくる上での言語のスキルの話ってことですよね。

さとしさん

そうです!

味覚の違いみたいな話と近い話で、こういう風にいわれるとこう理解するみたいな脳のシステムが僕らとちょっと違うんですよね。

だからそれを無くすために、文字で書くと抜けてる点が明確になるからお互いにコミュニケーションがよくなったんですよ。

さとしさん

僕がAだからB、BだからC、なのでDって書いたときに、BとCの間にCダッシュあるよねみたいなコミュニケーションが発生するんです。

喋ってるとなんとなくそこを補完しあってて、実はCダッシュって思ってる人とBダッシュって思ってる人がいても分からないんですけど、書くとわかるからそこから結構伝わります。

ゆうき

なるほど。
そこで誰が見ても同じ答えというか、同じ共通の認識ができますからね。

「何に対して報酬を受け取っているのか」という意識が強い

ゆうき

言った、言わないとかそういう話もよくありますよね。

何回も話して何回もイエスとお互い言ってたのにそんなの聞いたことない、みたいな反応で喋ったりだとかは何回もありました。

あとはベタな話でやっぱりジョブディスクリプション(職務記述書)とかの話になると、僕の期待はこれだっていった上で、相手からそれは僕の職務記述書には書いてないからストレートにNoって言われて、この仕事は僕はやらないよ、っていう風に真っ向から言われることも何度もありましたね。

当初組織図を作ってく上で、こういうメンバーの配置で、この人にこういう事任せてやっていけばいいだろうって想定していたことはあって、でもそこまで細かくジョブディスクリプションに書いてなかったりしたんですよ。

さとしさん

そういうこと、結構聞きますよね…

ゆうき

いざ採用して、この人にはこういう役割でやってもらえるだろうと思っていたら、本人たちから私がもらってる給料と仕事の中にはこの業務は入ってないはずだ、しかもこんなことを私にやらせるのは、私の給料からするともったいないから違う人を雇うべきだとかっていってくるんですよね。

え?みたいな。
物品の準備くらいしてくれてもいいじゃんみたいな、でも彼らからすると違うと。

私の役割はもっとハイレベルなところにあるべきで、お掃除なんて当然しないし、ごみ捨てなんて私の職務内容には入ってないわよ、ということなんです。

さとしさん

特にゆうきさんの場合は、ドクターというか医療行為っていうスペシャリティが深い分野だったから、そういった専門のお仕事されている方はプライドとかも高かったんでしょうね。

ゆうき

物品の準備とか購入するみたいなプロセスっていうのも、そんなのはこの専門の職種の人雇ってやるべきだから、私の事じゃないみたいなことを平気で言ってくるんですね。

こっちの認識不足だなっていうのは、思ってる以上に彼ら彼女たちは自分のプロフェッション(専門)がどこにあるのか、何に対して期待されていて、何に対して報酬を受け取っているのかっていう事に対する意識がめちゃめちゃ強い。

さとしさん

僕もそういうことはあって、でも結局スタートアップだし、人が少ないのである程度カバーし合わなきゃいけない訳ですよ。

さっき言ってくれたみたいに、店頭に立ってほしいし、物品のカウントだってやらなきゃいけないわけですよね、どんな偉い人でも。

僕だって倉庫に行くわけですよ。(笑)

ゆうき

ですね。なんだったら僕らが一番ごみ捨ててるわ!みたいな(笑)

会社がどんな価値観でビジネスをやっていくのか明文化する

さとしさん

そういったことを僕ちゃんと、書くようにしたんですよね。

あとは小さいチームで、A to Zで全部やるのが仕事だって決めて提示するようにしました。

それからは面接中で、そういうスペシャリスト、プロフェッショナルでこれしかやりたくないっていう人は弾けるようになってきました。

ゆうき

本当に良い悪いの話じゃなくて、それが会社としてのスタンスであり、さっき言ってくれた一番コアな部分をそもそも握れてるいるかとか、共通認識を持っているメンバーとやれるかどうかっていうところですね。

さとしさん

そういう意味でも、ジョブディスクリプションをちゃんと明文化するってすごく大事ですよね!

ゆうき

ミッションとかビジョンもそうだけど、そもそも会社がどんなバリュー(価値観)でビジネスをやっていくのかという部分はめちゃめちゃ重要かもしれないですね。

鍵は、価値観の合うメンバーと出会えるか

さとしさん

価値観の共通認識ないまま採用しちゃうと、結構ぐちゃぐちゃになるんですよね。

色んな価値観の人が入ってきて、それはそれでいい事なんだけど、拠り所となる一つの筋がないと辛いですよね。

そういうので苦労したこととか、何かあったりしますか?

ゆうき

そうですね。

日本からきてるグループってところから、カルチャーに対するリスペクトとか、どういう思いでそもそもスタートしてるのかというのは最初に絶対伝えるようにしてるんですね。

そこに対する相手の反応だったりとか、一緒にやっていけそうなのか、そうじゃないのかっていうのを見てから採用するっていうぐらいですかね。

さとしさん

価値観の共通認識を見ているわけですね。

ゆうき

その上で、スタッフは多くの場合、後々から、日本ではそういう考え方かもしれないけどこっちの業界においてはそのスタンダードは通用しないから、みたいな捨て台詞みたいなことを言われることは何回も何回もあったんで、仕方ないみたいな感じに思っています。(笑)

そんな感じですね。ちょっとまた大盛り上がり(笑)

さとしさん

人材採用は影響範囲が大きいですからね!(笑)

やっぱり結局のところは人に尽きます。
今回はちょっと一旦ここで!
次はどの方向に行くのか楽しみですけど、とりあえず採用とか人周りについては終わりにしようと思います。

ありがとうございました!

ゆうき

ありがとうございました!

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