「湘南美容外科クリニック」アメリカ法人元CEOの高橋佑樹と「Life is Tech!」アメリカ法人CEOの宮川聡の対談。今回の記事では、二人がアメリカに進出した直後、どれだけの「お金」と「時間」を費やしたのか、そこでの苦労とは…。当時を振り返って、更に深掘りしていきます!
コラム対談相手
宮川聡 Life is Tech !アメリカ法人CEO
東京大学工学部卒、スタンフォード大学経営大学院修了。証券アナリスト(CCMA)。2005年に大学卒業後、東京海上日動火災保険へ入社。海外事業の経営戦略・資本政策に携わる。2016年ライフイズテックに参画後、2019年にアメリカ法人CEOとして、ロサンゼルスにてビジネスを立ち上げる。社会課題を解決するアイデアを持つ高校生を応援する、インキュベーションプログラム「BLAST School」メンター。
アメリカに進出した後、主にどこに「時間」と「お金」がかかったかを、お互い話していきましょうか!
興味深いテーマですね!
「あの時間とお金返ってこないかなぁ…」なんて色々思い返す事がありますよね。
アメリカ進出後、一番最初にかかった費用
ゆうきさんの場合、最初どこに一番お金掛かりましたか?
思い当たるのは大きく2つです。1つ目は「人」、2つ目は機械も含めた「設備」ですね。
両方ともかなりお金掛かりそうですね…。
そうですね。1つ目はいわゆる人件費だったり…。
南カリフォルニアで美容医療、外科のドクターを雇用すると大体どのくらいの年収が掛かるかというと、平均3000万くらいなんです。300万ドルではないですからね。笑
本当にイケイケなクリニックで務めてるドクターなんて勿論それ以上で、5000万だったり、ミリオンという人もいるかなと思います。
それは高い!
なので人を雇用することにお金が掛かりました。その分、どういった人材、どんな方と提携をするかは慎重に考えていました。
2つ目の設備については、前回のロケーションの話と絡んでくるかなと。
我々の事業内容は、現場で治療行為を行うことだったので、治療を行うにあたって、「その場所で治療行為をおこなっていいのか、いけないのか」「どんな治療をどこまでやっていいのか」という、ライセンスや認証の問題が、大きな話として出てくるんですね。
ドクターありきなんですね。この方がどんな施術ができるのか、そのロケーションでやっていいのかいけないのかとかいう事ですよね。
ですね。この建物からやりましょうと決めた後に「その建物で麻酔を使っていいのか」「使うにしてもどの程度の麻酔を使っていいのか」を確認しなければならない。
難易度の高い施術をやりたければ、「ここでやっていいよ」という承認をもらうプロセスが必要になってくるんですが、半年~1年くらい時間がかかるので、結構待ちますよね。
あとはそのための設備投資として、数百万から数千万単位の設備投資をしないと、「この場所ではこのレベルの治療が出来るようになりませんよ」という話があったりするんです。
これは飲食店における「リカーライセンス」の話と近いかなと思うんですが、医療行為においても、当然、この場所においてはどのレベルの治療、医療行為までおこなっていいのか、その取得を得ようと思ったらここまでの投資をしてくださいね、っていう前提条件もあったりもします。
なのでそこに1年、気づいたらもう1年、どんどん時間とお金もかかるということを繰り返していたりもしました。
今の話を伺って、最初に意思決定しなきゃいけない難しさがある気がして。
例えば、お客さんがAという施術をして欲しい、Xが欲しいって言ってるから設備を買います、ではなく、もう決めて進むみたいな感じなんですか?
そうですね。ドクターが行いたい治療がある時に、その治療のために「この機械が欲しい」という話になると、その機械に1000万円かかるとしても、「これがないと話にならないよ」ってことを言われてしまうと、準備するしかない状況になってしまうんですね。
一方で、その施術をして一体いくら売り上げが上がるか、みたいな議論もあるわけですよね。
それはもうなくてはならない話なんですが、「ビジネスサイド」と「医療行為を行うサイド」の感覚の違いが、そこに大きく出る所ですね。
新しく何かを始める人に要注意な「意思決定」
なるほど。それは分かる気がします。例えば、僕のケースだと、ビジネスサイドとプロダクトサイドで全然思考が違うことが多々あります。
自分自身もそうですし、これから先、同じようにビジネスを始めるとした時に、どうしてもアメリカ、カルフォルニア州におけるルール、法律がわからない中で物事を意思決定しようと思っても、いざ決めた後に凄い出戻りが発生してしまうことが当たり前に起きることがよくわかったので、新しく何かを始めるのは要注意な項目とよく思います。
いやー、意思決定したあとに問題が見つかることは結構ありますよね。僕も、実は採用が決まった後に違う他州だったので、他州のビジネスライセンスがないと採用しちゃいけないとわかって合わせるみたいなことがありまして。
あるあるですね。。
オンラインサービスなのに「出展」に力を入れた理由
ではさとしさんの場合、最初何にお金使いましたか?
僕はエンドユーザーとたくさん触れる機会を増やしたかったので、基本的には出展戦略を取りました。エキスポとかにお金を掛けていましたね。
それはどのくらいの規模のイベントで開催期間は…?
例えば、アニメエキスポだと3日間で30〜40万人くらい来ます。
アニメエキスポに出るのに、出展料に加えて3日間しか使わないブース設営費用とか、場所を抑えるだけでも100〜200万と掛かるし、しかもただ場所を借りてるだけなので全部カーペット引いたり、イケてるディスプレイを設営したり、台付けたり、うちのブランドのロゴつけたりしたらそれだけで簡単に500〜600万いくんです。
へー、それくらい掛かるんですね!
掛かる!僕も出張ベースだったから渡航費もかかるし、人材派遣の会社にお願いしてその日だけのセールスパーソンを4人ほど雇いました。高いんですけど結果そっちのほうが安くて。そんなことをやっていたら1000万単位で掛かるんですよね。
なるほど。会社としてはある程度1000万円くらいのお金を掛けてやる事に対してリターンがある、もしくはマーケティングリサーチだとするならばどういった成果、反応を確かめる為にそのお金を掛けてやるぞ!っていう意思でやってるんですか?
基本はマーケティングですね。例えば3日間で1000万掛けて1日あたり何件メアドをゲットしたか、当時は3日間で4000∼6000件くらいメールアドレスをゲットしたんですよ。その後、その人達にアプローチしにいくみたいな事もやりました。
でも1発目からいきなり本番でそれが出来た訳じゃなくて、その前に3つくらい小さいとこで出展を重ねてノウハウをゲットして、「じゃあ次はこういうやり方をすると1000万円掛ける価値があるかもね」ってやった感じです。
適切なステップがあったりしますね。
あとは、僅か3日のために用意するものがたくさんあって、オペレーションは大変でした。パソコン、ディスプレイ、電源、Wi-Fiとかを買わなきゃいけなくてそこにお金と同時に時間もかかりました。なので、果たしてそれがいい投資なのかを見極めることは慎重に検討・振り返りしてました。
その後、ニューヨークで別のエキスポがあって、そこでKPI設定をして、出展した結果、エキスポはペイしないねって最後判断しました。
それはペイしなかったけどプロセスを吹っ飛ばして次に行くことは果たして出来ましたか…?
出来ないと思う。結局僕らオンライン商売だから「最初からデジタルマーケティングやればいいじゃん!」って考えると思うんですが、全然違う国と考え方の人達を理解するのが大事だと思ったので、いきなりデジタルにいくのが怖かったんですよ。
ちゃんと生身のリアルユーザーに会いたかったし、使ってもらった時にどんな反応、表情をするのか凄く気になったので、ペイしませんでしたっていうと語弊があって。
数字とかお金に換算できない情報を得られたんですよ。だからこれ以上やる意味はないね、という意味でのペイしないってことです。
これだけ情報があってお客様をわかってる状態で更に1000万かけますかっていうと、それはデジタルマーケティングのほうがいいよねみたいな事がわかった、って言うほうが正確かもしれないです。
なるほど!どのくらいの期間をかけてお金とエネルギー、KPIなのか生活仕様のターゲットを決めてやってみて、ある段階になって情報が十分集まってきたね、これ以上は同じプロセスでも仕方ないよね、っていう段階に至ったらまあ次に行くってことですね。
逆の話ももう1つあって、最初はデジタルマーケティングにあんまり力いれないといったんですが、社内で完全に内製していてコスト抑えてるつもりだったんですよ。でも今振り返ると、凄く効率が悪くて、その後に結局、外注することになって。
僕らも全く同じプロセスを踏んでいるので、内製化と外注っていうそこのテーマはね。
永遠の課題。それはまた次回にでも語りましょう!
もう話止まんないやつですねー。笑 次も楽しみということで今日はありがとうございました!
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