インタビュー相手
下村 拓哉 Lrauogh LLC. Founder/CEO
大阪府出身。大学在学中から海外を旅して人の繋がりの大切さを知る。2年で脱サラ→イギリスで起業した後に日本で廃業。結婚を機に某検索大手G社の中でリクルーターとして働き、メガベンチャーや大手企業の本社と海外子会社で人事として従事。10年間の海外経験(イギリス・シンガポール・アメリカ)とTech/Recruitingを武器に、2021年Lraoughをカリフォルニア@LAで創業。パッションは「面白い人と人を繋ぐ」こと。
しもたくさんとの対談コラム1発目!という風に見せかけていますが、実は以前話していただいた内容を、僕が録画ミスしてしまうという大失態を犯してしまいまして。(笑)
あるあるですね。(笑)
初回のムードでやるけど、実はテイク2ということで、よろしくお願いします!
今日はLraough(ラフ)のしもたくさんに、HR(ヒューマンリソース)や人事・人材周りの業界のことを色々と聞いていきたいと思います。
お願いします!
アメリカの人材採用や転職市場では何が起きている?
まずはLraough(ラフ)で、しもたくさんがエンジニアやデザイナーの方を中心に人材紹介、転職支援をされている中、アメリカの採用や転職市場では今はどんなことが起きているんですかね。
アメリカの今の状況はですね、コロナがあって自分たちも特に感じている大きな変化としては、インフレです。
それも、いまだかつてない程の。
今まで感じたことのない大インフレになっていて、家の値段やガソリン代、車そのものの値段も中古車新車問わず何十%みたいな伸び、ヘタしたら50%以上伸びてるという状況で、生活するのも大変だし給料もどうするか、という議論が色んなところで起きています。
人事的にもすごく大きな課題であり、チャレンジでもあるというような状況です。
もうひとつ大きいのは、英語でグレート・レジグレーションって呼んでいるんですが、大離職時代、ともすれば大転職時代みたいな感じになっていて。
なぜそんな状況になっていったのでしょうか。
そもそもコロナで給付金が出て、失業したら保険で賄われますよみたいな背景もあるんですが、仕事を辞めても働いてもお金もらえるんだったら辞めたほうがいいじゃんみたいな、アメリカ独特の考え方っていうか。(笑)
そういう風に辞めた人達もいれば、こういうところはアメリカらしいなと思うんですが、そのタイミングで一気に情報収集したり新しい勉強をして全然違うキャリアを築いていったりした人もいます。
この離職率というか転職率、失業率が依然として高止まりで継続しているような状況ですね。
何に影響あるかっていうと中途採用も結構難しかったり、経験者を採るのが難しいという状況になっています。
たくさんの人が仕事していなかったり、新しい仕事に就いたり、給料良くなかったから転職したりみたいな、そういう状況なのが、今のアメリカですね。
上がり続けていくロサンゼルスの給与水準
ということは、コロナの影響もあった上で、働き手のほうが強気な状況が続いているということですか?
はい。
人材のほうが強気というか、そういう状況にはなってると思います。
売り手市場かな。
アメリカ、特にロサンゼルスだと、給与の水準って元々高かったようなイメージがあったんですが、今はさらに上がり続けてるっていう状況なんですかね。
全然上がってますね! 信じられないぐらい。
どこの会社も毎年昇給率みたいなものを参考にしながら調整しているんですが、今年は特にその数字が顕著に上がるんじゃないかなって言われています。
そもそも生活水準がどんどん上がってきてしまって生活コストが上がっているので、給与の水準も上がらなければ生活できないよねっていうような状況になっています。
そうすると、やはり給与の水準も当然上がってしまいますよね。
必ずしも物価上昇=給与額上昇ではない?
給与の上げ方の基準としては、市場がどれぐらい伸びたらそれに合わせてそれよりもちょっとプラスにするみたいな、そんな感じでしたっけ?
給与を上げていく基準を決めるのに、どこの数字が関係しているのでしょうか?
関係するのは物価上昇率だと思うんですけど、物価上昇率イコールではないんですよね。
物価上昇率が低いときでも給料は上がったりすることも全然あるので、必ずしもイコールではないんですが、どこの会社も大体これぐらい上げないと厳しいよねっていうのは何となく平均的に決められていて、リサーチデータなどを参考に自分たちの昇給率を決めていきます。
平均的に決められているのであれば、人材の質も問われますね。
そこの業界だったりとか、どの業界にいるのか、どんな人たちを残したいか残したくないかみたいなところが、日本と違ってアメリカははっきりしています。
必要な人材は必要なんだけど必要ない人材は必要ないみたいに、バシバシと抜本的にやっていくので、そういうのを押並べるとそうなりますね。
企業側が良い人材を採用するために
具体的な給与だと、日本は1000万円っていう言葉が一つの目安でありラインみたいな言い方をすることが多いのかなって、なんとなくのイメージがありますよね。
アメリカにおいては実態として1000万イコール100k、100×1000っていう言い方になりますけど、そのへんの水準はアメリカ、特にしもたくさんが見ているエンジニアさんやデザイナーさんっていう領域においては、どういう捉え方をされてるんですかね。
エンジニアやデザイナーだと、あんまりそういうのが議論されなくなりつつあると思っていて。
一般的な人はシックスフィギュアっていわれる、いわゆる年収1000万、日本円に換算すると1300万とかになっちゃうと思うんですけど、そこまで稼げるかどうかっていうのが一つのポイントだったと思うんです。
もうそれも10年とか20年前から言われてるような話だったと思うんで。
今は新卒でエンジニアで、大学卒業したらそもそもシックスフィギュアスタートっていう人たちが出てきちゃっている状況です。
100kでも120kでも初年度から、大学卒業したらもうもらってる人たちがいるっていうのが、エンジニアとかプロダクトを作っている業界の常識になりつつあるっていう状況ですかね。
適正な給与を支払う重要性
これまでの話は働き手、人材側が強気に自分たちが求める職場や待遇を検討した上で新しいところに行くのか残るのかみたいなことをしているっていうことですよね。
企業側はそれに対してどんな努力をしていたり、特に最近だとこういうトレンドが、要はいい人材に残ってもらったり来てもらうためにこういうことをしてますよみたいなのってありますか?
一番はコンペンセーション(報酬)の調整で、さっき言ったような給与とかそういったものがまずコンペティティブ(他に負けない良い報酬)なものを払えてるのかどうかっていうところがポイントになりますよね。
当然の話ですが、こっちだとどういう職種に就けるかっていうところになります。
日本では文系とか理系とかいう言い方をしますよね。
エンジニアだとさっき言ったみたいな感じでめっちゃ高い給与、一般的に比べると高い給料を出すんだけど、マーケターがそこまでもらえるかっていうとそうではなかったりとか。
あと地域性っていうのもありますけど、地域と職種と経験年数とかによってどれぐらい出すか、コンペティティブなのかは、採用における工夫として当然やってるのかなと思います。
他に負けない良い報酬を払えるように、リサーチしていくわけですね。
もう一つはカルチャーの部分かなと思っていて。
給料はもちろん生活していく上で身元に入ってくるお金が大きいか少ないかで生活が変わるので、ものすごく重視しています。
そもそも9時5時とは言わないけど、ミッションを達成していったり自分の時間を注ぐ場所をどういうところに使いたいかっていうところで就職する人、転職する人っていうのは企業を見ているんですよね。
なので一概にこうがいいというふうには言わないですけど、うちはどういう会社なんだとかこういう文化を持って仕事してるんだっていうところを伝えていくことの重要性とか、それがトレンドだったりそれこそコンペティティブだったりするかどうかはめちゃくちゃ重要なポイントかなと思います。
日本とアメリカの労働者の価値観の違い
しもたくさんは日本でも人材周りのお仕事をずっとされていたと思うんですが、日本とアメリカで見る労働者達の価値観の違いっていうのはなにかありますか?
それは仕事探しにおいてだったり、何か会社に対して求めるものもそうかもしれないし、違うなって思うところがあるのではないかと思っていて。
僕も日本を離れて7~8年経っちゃってるから、昔の日本を思い出しながら今はそうじゃないっていうのもあると思うんですが、イメージとしては、就社するのか就職するのかっていう2つの違いですね。
就社っていうのは、どの会社に就職したかが大事っていう考え方で、就職活動中にもみんな、お前どこ行くのみたいな話をしたり、学校を卒業しても、どこの会社に入ったの?って、何の仕事してるの?より、入った会社のほうが大きいっていう価値観が日本にはあると思うんですね。
俺上場企業の○○社入ったよとかとか、看板がすごい大事なのが日本で、アメリカも当然大事なんだけど、それ以上にどういう仕事をしてるかのほうが大事っていうのがアメリカの環境かなと思います。
それすごく感じますね。
日本は色んな部署をまたいだり、大手であればあるほど色んなポジションを任されて色んなことをやっていきながら経営幹部みたいな感じで育っていくカルチャーだと思うんです。
こっちはこれやるって決めたら基本はその筋で、なんか面白くないから変えたいなと思ったら20代でも30代でも遠慮なく、子供いようがいまいが、家族がいようがいまいが、大学院行って他のことを勉強してそっちの仕事に就いちゃうみたいな、そういうカルチャー。
だけど一本筋を決めたらそこを通す。
意外に流用性が利かないのが、アメリカの価値観ですよね。
中編ではグローバルシーンで採用時に重要なこと、また日本とアメリカの採用時のギャップについてです!
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